はじめに、私たちの娘、木花の命をつなぐため、救うためにたくさんの方にご尽力を賜り、本当にありがとうございます。
また、「きかちゃんを救う会」を結成し、貴重な時間を割いて私たち家族のために活動していただく皆様に心から感謝いたします。
木花は、2018年2月26日に生まれました。食欲旺盛で、お兄ちゃんを追い回す活発な子でした。1歳4か月のとき、家族4人で楽しく過ごしていた生活が一変しました。
嘔吐が続き、顔色は青ざめ、寝ているときの息苦しさなどの症状があり、かかりつけ医を受診すると、思いもよらず心音の異常を指摘されました。急いで向かった総合病院では急性胃腸炎の診断を受け一旦入院となった翌日、精密検査の結果から心臓の異常が見つかり急性心不全と診断されました。そして先生から告げられた病名は「拡張型心筋症」。
初めて耳にする病名で、検索すると“治療困難” や“予後不良” の文字が目に飛び込んできて体中がガクガクと震え、何かの間違いであってほしい、と現状を受け入れることができませんでした。先生の説明では、薬による内科的治療で効果がなければ、心臓移植しかないとのことでした。内科的治療で効果がでることを願っていましたが、原因不明の脳梗塞や感染症も発症し、みるみる弱っていく木花の姿を見て、心の底から怖さを感じました。
そのような中でも、小さな体で必死に生き、笑顔を見せてくれる木花の強さに、私たち家族も「どんな時も笑顔だ」「必ず助ける」と病気と向き合う覚悟ができました。
内科的治療の限界を迎えていた2020年3月、成育医療研究センターで命をつなぐために補助人工心臓を装着する手術を行うことができました。あと数日遅ければと言うぎりぎりの時期でした。補助人工心臓を装着してからは、青白かった肌も綺麗な桜色になり、体の温もりを感じ、歩いたり食べたりできるまでに持ち直しました。見た目からは病気を感じさせないほどになり、心臓移植まで待てると希望の光に包まれたような気持になりました。
補助人工心臓は血栓ができやすく脳梗塞になるリスクや、それを防ぐため血液をサラサラにする薬を服用することでの脳出血のリスク、さらには、感染症などの合併症と、常に危険にさらされています。補助人工心臓を装着し心臓を休ませることで、稀に心機能が回復することがあることを先生から伺い、僅かな望みをもっていましたが現実は厳しくその望みは絶たれました。2020年11月に心不全が悪化していることが判ったのです。
拡張型心筋症が進行性の病気であること、補助人工心臓は心臓移植までの橋渡しであること、木花の命の期限が近づいていることを、改めて気づかされた瞬間でした。木花の命をつなぐためには一刻も早く心臓移植を受ける必要があります。
私たち家族は、国内での移植を希望し1年以上待っています。2010年の臓器移植法の改正で国内でも小児の移植医療が可能となりましたが、実施例は極めて少ない状況です。国内で待っているだけでは木花の命をつなげないかもしれない、つなげる可能性があるのなら、と海外での心臓移植に向けて動き出すことを決意しました。
先生方のお力添えで、米国コロンビア大学病院での受け入れが決まっております。しかし米国で医療を受けるには日本の公的医療保険が適用されないため、すべて自己負担となり莫大な医療費となります。また、補助人工心臓を装着しているため医療用ジェットのチャーターなど渡航費も高額となります。個人では到底まかないきれず、皆様のご厚意にすがるしかありません。そうした理由から、友人に結成していただいた「きかちゃんを救う会」で募金活動をさせていただくこととなりました。
このごろは「おうちにかえろうね」が寝る前の合言葉になっています。病室からじっと外をみる木花。娘の思い描いている世界を叶えさせてあげたいと思っています。
入院して2年。以前のようにまたみんなで食卓を囲み、笑いながらお話ししたい。一緒にお散歩して、季節を感じ、たわいない日常を過ごしたい。もう一度、家族4人で過ごしたい。
大変身勝手なお願いであることは重々承知しておりますが、どうか私たち家族を助けていただけないでしょうか。
皆様のあたたかいご支援・ご協力をお願いいたします。
2021年6月28日
森 賢吾・理恵子